なぜあの人は、あんなにバイクが速いのか? (No2)このオフ、バイクポジションを再考してみよう
2012年01月3日トライアスリートの皆様、明けましておめでとうございます。
今年も個々の目標達成へ向けて日々の積み重ね頑張っていきましょう!
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
前回お伝えし、反響の大きかった「インドアトレーニングでレベルアップを図るコツ」に続きまして、
今回はもう一歩突っ込んだ内容で、
「トライアスロンの理想的なバイクポジション」いついて考えてみたいとおもいます。
シーズンを通じて慣れ親しんできたポジションに手を加えるのはオフシーズンがベストです。
なぜなら、一般的に新たなポジションを作り上げていくには、ある程度の期間を要するからです。
トライ&エラーを繰り返しながら微調整の工程も含めると3ヶ月くらいはみておくべきでしょう。
逆に、一番やってはいけないことは、シーズン中に不安を抱いてポジションに手を加えることです。
(明らかなセッティングミスの際は、もちろん直ぐに修正します)
ですから、今の時期は、ポジションを再考するのにちょうどいいタイミングだともいえるのです。
3つのポイントに着目
私がポジションをお客様にアドバイスするとき、3つの手順を挙げるようにしています。
(1)最初にサドルの高さに集中する。
(2)ドロップハンドルポジションに慣れる
(3)以上がセッティング出来た後、エアロポジションを考える。
まず(1)は基本中の基本でもっとも大切な要素。逆にこれがバッチリ選手に合わせられれば、ポジションの大枠は作り上げられたともいえます。完成した(サドル高がピッタリ合った)カタチにライダーをあわせるという考え方でしょうか。
そのサドル高の合わせ方は、一番ベーシックな算出方である「股下寸法×0.885」で決めればいいでしょう。
これをボトムブラケットの中心(クランクシャフトの中心軸)からサドル上面のお尻と接するフラットな部分までの長さとします。
まずこの長さを基準として、実際の練習の中で、自分の走り方に一番あった高さに微調整していけばいいでしょう。
その次に、(2)のハンドル位置に着目します。
ドロップハンドルの場合はドロップポジション、またはほとんどドロップポジションを使用しない方は、ブレーキブラケットの位置を中心に考えればいいでしょう。ブルホーンの場合は、もちろん通常のグリップの位置になります。
高すぎず、低すぎず、遠すぎず、近すぎず、ちょうどしっくりくる位置を探し出すようにします。
モデルによっては、高さ調整やステム交換など専門的な技術を要することも多いので、その際は専門店に相談するとよいと思います。
以上が整えられて、初めてエアロポジションに目を移します。
トライアスロンの場合、どうしてもエアロポジションに注目が行きがちですが、「ドロップ(ハンドル)ポジションとエアロポジションは別物」、と認識した方が解りやすいでしょう。エアロポジションはサドル高、ハンドル位置など基本フォームが出来上がってから、着目するものと考えましょう。
「回数→距離→質」の順序で組み立てる
冒頭でポジションを変えるときは「微調整の工程を含めて3ヶ月くらいは必要」といいましたが、そのアプローチ方法について紹介しましょう。これは、私がアドバイスするオフの練習メニューの組立て方とも大きく関係してくるものなので、これからの時期、ぜひ参考にして頂きたいと思います。
まず、最初の一ヶ月は「回数を多く乗る」ことを心がけるようにします。ギヤは比較的軽めで、あまり身体に負担のかからないような範囲で。
たとえば1ヶ月に300kmを乗るとすると、50kmを6回よりも30kmを10回の方が望ましい。
そうやって、乗る回数を増やした方がそのフォームに慣れやすく、ポジション調整の感覚もつかみやすくなります。
そして次の一ヶ月は、回転やギヤの負荷はそのままに、徐々に距離を伸ばします。
たとえば一回の練習距離のベースを30kmとしていたとすると、その合間に60km走や70km走などを少しずつ交えていき、最終的に100kmライドをこなすようにします。この100kmの練習を取り入れられれば(こなせれば)走りが一皮むけることができます。
そこまで到達したら、次の一ヶ月は質を求める練習に移行させます。
これは距離だけではなく、「ギヤの重さはどうか?」「回転数はどうか?」という走りの質にも着目するようにします。そうやって、自分に適した走りを作り上げていきながら、それにあったポジションへと微調整していく、というのが理想のアプローチといえるのです。